ΕΚ ΤΟΥ ΜΗ ΟΝΤΟΣ

熱い自分語り

【歌詞和訳】I Didn't Know What Time It Was

 リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートの黄金コンビが作った数え切れないほどの名曲の一つ。'Manhattan'に並んで、このコンビの最高傑作だと自分は思ってます。若くて何かに夢中になっているときは、今が何時何分かなんて気にしないもの。でも、いざ夢から覚めると、時間やら何やら、色んなことに気付くことがある。そういう状態が普通だし、あるべき姿なんだろうけど、でも、何も目に入らなくなっていた頃がどうにも懐かしくなってしまう。そんな歌ですかね。

 この曲ができたのが1939年。作詞家のロレンツ・ハートはその時44歳。もしかしたら、彼自身の述懐だったのかもしれません。

 

Once I was young
Yesterday, perhaps
Danced with Jim and Paul
And kissed some other chaps

Once I was young
But never was naive
I thought I had a trick or two
Up my imaginary sleeve
And now I know I was naive

I didn't know what time it was
Then I met you
Oh, what a lovely time it was
How sublime it was too

I didn't know what day it was
You held my hand
Warm like the month of May it was
And I'll say it was grand

Grand to be alive, to be young
To be mad, to be yours alone
Grand to see your face, feel your touch
Hear your voice say, "I'm all your own"

I didn't know what year it was
Life was no prize
I wanted love and here it was
Shining out of your eyes
I'm wise and I know what time it is now

 

むかし、わたしは若かった
何か昨日のことみたい
ジムとポールとダンスをして
他の唇に唇を重ねた

むかし、わたしは若くって
でも、決してうぶじゃなかった
その気になったらどんな男でも落とせるって
頭の中だけで考えてたな
今は分かる わたしはうぶだったんだ

今が何時かなんて知らなかったけど
あの時、あなたに出会ったんだね
あれは素敵な時間だったな
崇高だって言ってもいいくらいだった

今日が何日かなんて知らなかったけど
あなたがこの手を握ってくれたよね
五月みたいに温かくって
ほんと、最高だった

最高だった 生きることが 若いってことが
夢中になれることが あなたのものだけでいられることが
最高だった あなたの顔を見て あなたが触れるのを感じて
「僕のすべては君のものだよ」ってあなたが言うのを聞けて

何年のことだったかな
生きることがつまらなくなった
わたしの求めてた愛の光が
あなたの瞳から放たれてたのに
今はもう、この目も覚めて
だから、今が何時かも分かるんだ

 

 

Blue Skies

Blue Skies

 

  ニュージーランドのオペラ歌手キリ・テ・カナワが巨匠ネルソン・リドルと組んだ一枚。上品なギターとビブラフォンをバックに、この歌の本質を優しく抉りだすようにうたっています。ボーカル付きだったらこれが自分にとっての決定版です。How high the moonとかWhen I grow too old to dream(「夢見るころを過ぎても」という邦題が素晴らしい)も最高です。

 

 

Carmen Cavallaro & His Orchestra, 1946

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  タイロン・パワー主演の超名作『愛情物語』(1955年)で劇伴を務めた超絶技巧ピアニスト、カーメン・キャバレロによる演奏。過剰なまでに壮麗さの中に、きちんと寂寥感がこもっています。いかにも古き良きって感じが、この曲の大切な何かを保持してくれてる感じです。