ΕΚ ΤΟΥ ΜΗ ΟΝΤΟΣ

熱い自分語り

呉と閖上――『この世界の片隅に』を巡る自分語り

※この記事には『この世界の片隅に』のネタバレとかが満載だと思うので、必ず観てから読んでください。

※ここに書いているのはあくまで筆者個人の解釈です。間違っていたなら教えて下さい。

※東北で311を経験した立場から書いていますが、あくまでこれは個人の意見であり、被災者全体の意見ではありません。

閖上に対するスタンスに、もしかしたら傲慢な点があるかもしれません。

 

 

続きを読む

【詩和訳】ハリール・ジブラーン『狂人』より「挫折」

 今日もじゃんじゃん訳しますよーハリール・ジブラーンのThe Madman和訳コーナーのお時間です。提供はミナミノミナミノ凄い奴Project Gutenberg Australia*1です。

 今回訳したのは'Defeat'という作品。こいつにはあたくしちょいと思い入れがあります。ハリール・ジブラーンの詩に初めてで会ったのは、たぶん今からちょうど10年ほど前で、当時自分はたいそうな苦難の中におりました。そんな折に、神谷美恵子の『うつわの歌』に収められたこの詩を読んで、大きな慰めを得たのでした。自分にとって原点とも言える作品です。こうして自分で訳せてよかったです。

 神谷美恵子の訳は実に繊細かつ端正で、あっしなんかもうただただひれ伏すしかありません。なので今回は、散文的に、かつ割と粗野に訳してみました。野郎の漢気で勝負です。

 今年も皆様に沢山の苦難と挫折が訪れるかもしれないですが、堂々と生きましょう。

 

続きを読む

【詩和訳】ハリール・ジブラーン『狂人』より「磔刑」

 三が日も終わりますが今日も今日とてハリール・ジブラーンのThe Madmanを訳してきます。テキストは、我らが同胞Project Gutenberg Australia*1です。今日訳したのは'Crucified'という作品。マロン派のキリスト教徒に生まれながらも、ニーチェに傾倒し、独自の信仰を育んだ彼だからこそ書けた作品だと思います。正直言ってかなり難解で、ちゃんと理解して訳に反映できてるか心もとないっス(全部そうと言えばそうですが)。

 

続きを読む

【詩和訳】ハリール・ジブラーン『狂人』より「賢王」

 ハリール・ジブラーンのThe Madmanより、今日は'The Wise King'を訳しました。テクストは我らの恋人Project Gutenberg Australiaです*1。とある街に起こった悲劇の話。たぶん、これと同じ悲劇がこの世界のあちこちで起こっているんだと思います。

 

続きを読む

【詩和訳】ハリール・ジブラーン『狂人』より「別の言語」

 新年あけましておめでとうございます。今年も相変わらずハリール・ジブラーンのThe Madmanをこつこつ訳してこうと思います。今年の折り返し地点までには全部訳せると思うので、そっからはまた別の作品を訳してこうと思います。今日のは'The Other Language'という作品。大好きな漫画に、

そうねえ
でも
赤ちゃんの時って

今よりももっといろんな事
知ってたんじゃないかって
思うことあるわ*1

 という台詞がありますが、そういう作品です。

 

*1:遠藤淑子『マダムとミスター③』白泉社、1996年、61頁

続きを読む

現実対茶番――第67回NHK紅白歌合戦「紅白対ゴジラ」を雑に振り返る

 記憶を頼りに振り返ってみます。間違ってたらすいません。

 

・OP曲の"fly into the sun"が鷺巣オブ鷺巣曲だったので初っ端から滾る。

ゴジラが出ない。本当に出ない。

・前半ゴジラ一回も出ない。テロップで後半出ますみたいなのが出たので後半までネットやる。

・RADWINPSが前前前世うたうとき後ろに君の名はが流れてたけど、瀧君がおっぱい揉むとこが流れてて感動した。どうせならばパンツも映してほしかった。

・たしか乃木坂がうたってるあたりで、#紅白シンゴジ実況のTLにアプリからそろそろゴジラ出るみたいな通知が来たみたいな人が出てきたので襟を正す。

・司会が喋ってたら警報が鳴って俺も叫んだ。

・もーーーーとにかく最初のゴジラの上陸の奴からして最高たった。第四形態が横浜から上陸ってところで最初の絶頂を迎える。もーー俺はVS世代で、ゴジラVSモスラももちろん大好きなので、ゴジラと横浜の組み合わせっつったらそれはもう最高としか言いようがないので、ランドマークタワーとか観覧車を前に鎌倉さんがゆーっくりと歩いてるとこだけで本当にもう気が狂う程気持ちええんじゃ。しかもその後が何とシン・ゴジラと東京タワーとの共演ということでまた発狂する。分かってはいたけれど、赤い光を放つシン・ゴジラと東京タワーとの組み合わせは堪らなく美しくて、ぜひこの組み合わせは本編の高クオリティでも観たかったなあと滅茶苦茶思いましたよ。

・最高にテンションブチあがって滾ってたらいきなり映像がブツ切れして、司会の有村架純がほんっとーに興味なさそうな感じで事務的に話題を本筋に戻したのでこの女に一章ついてこうと思った。

・紅白とゴジラがどうコラボするのかはこの時点でもよく分からなかったが、そこはNHK。もちろん日本が誇るNHK交響楽団による伊福部メドレーとか期待しちゃうし、それ以上にNHK交響楽団の本気のWho will knowが聴きたいに決まってるので滅茶苦茶期待した。

・島津亜矢ほんっとーーーーーに歌がうまいので、この人にWho will knowうたってもらえばいいじゃん。

矢口蘭堂降臨。

・記者会見をする矢口蘭堂って滅茶苦茶ありそうで確か劇中にはなかったはずなのでクッソ興奮して二度めの絶頂を果たした。ていうか、よく分からないが、改めてまじまじと矢口蘭堂を見ていると本当に矢口蘭堂は美しすぎてどうしようもないなと降伏した。あの凄まじいカリスマとエロさは何なのか一生かけて考えてゆきたい。もーーースタイルも所作も声も表情も全てが美しくて敗北した。

・会見で記者がわざとらしく質問したり騒いだりする演出があって、庵野が意図的に排除したであろう日本の娯楽のお決まりみたいなものがシン・ゴジラの枠内に入って凄く違和感もあったけど、本来だったらゴジラってこうなったはずよなあと思い、興味深くも感じた。庵野の特異性を再認識。でも、紅白のお遊びとしては破格の待遇と出来なので1兆点くらいはあげてもいい。

有村架純

マツコ・デラックスタモリがなんかパイプオルガン弾き始めたんだけど、そこでこいつを思いだした。


【シンゴジラ】Who will know パイプオルガンバージョン_Pipe organ ver.

このパイプオルガンでWho will know弾いたらいいんじゃないですか!!!!!!!!!!!????????めっちゃいいんじゃないですか!!!!!!!!!!!????????

ゴジラ全然出てこないので発狂しそうになる。これ何かに似てると思ったらギャレゴジだった。すごい、全方位リスペクトすばらしい隙がない。

・と思ったら死人が甦った。わたしたちは今奇蹟を目にしている。

・大河内首相が死人のうちよりよみがえり、天に昇り、全能の父なる神の右に座したまえり。アーメン。もう一度総理の雄姿が見れて大感激して三度めの絶頂に至る。さらには総理に撤退を迫る郡山危機管理官という最高の映像がもう一度見れて四度目の絶頂。本当に総理に撤退を迫る郡山危機管理官は世界の至宝。ただ、ここでの渡辺哲の演技は表情がかなりオーバー気味。本編劇中の、激情を抑えようとしているが抑えきれない、という感じの演技が最高だったので、そこが少し残念。庵野って大きかったなあと実感。ただ、紅白でこういう場面が見れたってだけで最高。

巨災対”!”””””!!!”!!!!!!!

・いい歌をゴジラに聴かせれば凍結できるという謎理論で五度目の絶頂。TLではマクロスとの声が続出。確かに庵野マクロスTVシリーズと映画両方にかかわってるし、オマージュとしても最高。でも、歌で怪獣を何とかするってのは、モスラとかキンゴジとかの東宝特撮映画の伝統でもあるよなあ。キンゴジで太鼓をたたいてコングを何とかしようとする高島忠夫が大好きなのでこの理論は大歓迎。

有村架純

大竹しのぶ愛の讃歌を歌いだした途端、#紅白シンゴジ実況のタイムラインがスカイツリーだのビオランテだので大騒ぎになった。

 

ゴジラNHKホールに到達。有村架純の雑な提案でピコ太郎がゴジラを迎え撃つことに。

PPAP×第九という狂気のコラボに精神がやばくなる。ガッキーをはじめとした審査員の困惑に満ちた表情に何かが啓けそうになる。

・アナウンサーってたいへんなしごとだなあ。

ゴジラ熱戦で皆殺しにしろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

・TOSHIKIの「ゴジラを倒すぜぇええーーーーーーーーーーーー↑↑↑↑↑↑↑」で死んだ。

ゴジラ vs X JAPANという筆舌に尽し難い想像を絶する狂気に脳髄が熱線に蹂躙される東京の如く崩壊し完全に馬鹿になった。何をどう考えたらこういう組み合わせを思いつくのだろうと右往左往する反面、これ以上にインパクトのあるコラボはあり得ないのも間違いなくて、もうどうしたらいいかわからないけど体が無条件に反応してひたすらに最高だった。あと、紅の歌詞が完全にWho will knowだったので実質Who will knowだった。

ゴジラ凍結。横に並ぶ巨災対を見て、あーこういうところが非庵野だなーとほっこりする。

 

・ドリアルドシリアスのシン・ゴジラでここまで振り切った内容にしたのは大正解だったと思う。一生分叫んだし絶頂した。批判もあるだろうけど、まああれよ、核に警鐘を鳴らす神の化身もゴジラなら、笑いを取るためにはシェーも辞さない子供のヒーローもゴジラであって、今回の「紅白対ゴジラ」で、シン・ゴジラがその両方のゴジラを包摂する存在になったと言ったら過言だろうかね。シリアスもコメディーもいけるなんて、まさに人智を超えた完全生物だ。

 

シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

 

 

 

シン・ゴジラ Blu-ray特別版3枚組