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ΕΚ ΤΟΥ ΜΗ ΟΝΤΟΣ

熱い自分語り

【詩和訳】ハリール・ジブラーン『狂人』より「眼」

ハリール・ジブラーン 詩和訳

 毎度おなじみ、ハリール・ジブラーンの『狂人(The Madman)』のお時間です。子の記事はProject Gutenberg Australia*1の提供でお送りします。今回お送りするのは「眼(The Eye)」と題されたコミカルな小品。愚者の楽園の連中には付き合ってらんねえってお話です。

 

The Eye


Said the Eye one day, “I see beyond these valleys a mountain veiled with blue mist. Is it not beautiful?”

The Ear listened, and after listening intently awhile, said, “But where is any mountain? I do not hear it.”

Then the Hand spoke and said, “I am trying in vain to feel it or touch it, and I can find no mountain.”

And the Nose said, “There is no mountain, I cannot smell it.”

Then the Eye turned the other way, and they all began to talk together about the Eye’s strange delusion. And they said, “Something must be the matter with the Eye.”

 



 ある日、眼が言った。「この谷の彼方に、藍色の靄に覆われた山が見えるんだ。綺麗だよな?」

 耳は聞き、しばらく熱心に聞いてから言った。「でもさ、山なんてどこにあるの? そんなの聞こえないんだけど」

 続いて手が言った。「俺も触れようさわろうとしてるけど駄目だわ、山とか見つからねえ」

 それから鼻が言った。「山なんてないよ。そんな匂いしないよ」

 すると眼は、別の道へと曲がって行った。残りの者は皆、眼のおかしな思い違いについて話し合った。そして彼らは言った。「どっか調子悪いんだよ、眼の奴」