ΕΚ ΤΟΥ ΜΗ ΟΝΤΟΣ

熱い自分語り

【歌詞和訳】Cliff Richard and The Shadows / Summer Holiday

 穏やかな幸せに溢れた曲。自分の中で夏休みっつったら、大江千里のアレかこの曲ですね。いやですね、俺にだって青春満開の夏休みなんてのもありましてね、ダチ公と海に行ったり山に行ったり映画に行ったり楽しかったっすねえ。そういう、たぶん誰もが少しは経験したであろうしあわせが、見ごとに詰まった曲だと思います。最高。クリフ・リチャードほんまにイケメン。

 ちなみに、弊社には夏休みはありません。

 

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【詩和訳】ハリール・ジブラーン『狂人』より「完全な世界」

 なんか久しぶりにハリール・ジブラーンのThe Madmanを訳してですね、やろうじゃないかというコーナーですね。テクストはみんなのヒロインProject Gutenberg Australia*1です。今日訳したのは "THE PERFECT WORLD"という作品。この詩集の最後を飾る詩篇です。完璧な秩序によって統制されたこの世界に対する違和感が表明されています。このような、自分が住む世界への違和感が正しく方向づけられると、それは、ここにはない何かへの憧憬となる。そして、その憧憬にかたちを与えると、詩になるんじゃないでしょうか。なんか読んでて、そんなことを感じました。なんつってつっちゃった。

 

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【歌詞和訳】The Mills Brothers / Paper Doll

 三次は糞! やっぱ二次元嫁最高! という内容の曲です。これが戦前の曲だっていうんだから、メリケンさんの先見性には目をみはるばかりです。ギブミーチョコレート。ただ、この曲の"I"は俺たち限界オタクみたいに、三次元の女性から見向きも去れないのでフィギュアに走った訳ではない様です。むしろ、豊富な女性経験から、やっぱ三次はないっすわ、二次元最高っすわ、という結論に至ったようです。なにそれカッコイイ。

 ちなみに、この曲ではやったらめったら"doll"って単語が使われるんですけど、これって「人形」と「人間の女性」のどっちの意味も含んでて、かなりややこしいんですよね。とりあえず何とか自分なりにくみ取って訳してみましたが、まああんまり信用しないようにおねげえしますだ。

 

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「地方創生のリアル」の記事を読んで、日本のキリスト教の現状そのものだと痛感した話

 Twitterを覗いてたら、こんな記事が話題になっていた。

toyokeizai.net
 衰退している地方の中には、有能な若者を自ら排除する構造を孕んだところが多々あり、そのせいで自らの首を締める結果になっていることが指摘されていた。若者に来てほしい、と言いながら、自分の価値観に合わない人間は排除する。自分より年下だからといって、若者に理不尽なかたちで仕事を押し付け、文句を言えば「我慢が足りない」と上から目線で批判する。駄目な地方の上役たちは、若者が欲しいと言いながら、そんな理不尽な振る舞いをしているという。

 さて、自分はこの記事を読んで、日本のキリスト教の教会が衰退しまくっているのも、ここで指摘されていることが大きな要因だろうなあと痛感した。自分は昔プロテスタントの教会をいくつか渡り歩いたのだが、結局は挫折して、今はほぼ無信仰者となっている。棄教した理由はいくつか挙げられるが、この記事で指摘されているような理不尽な目に散々あったことも大きい。

 いま日本の教会の高齢化は凄まじい。自分が前に通っていた幾つかの教会は、出席者の大半が60歳以上の高齢者の方だった。40代で若者と呼ばれ、20代30代の人が来たら大騒ぎするような状態だった。いまの日本の人口を占めるキリスト教徒の割合は1%以下というが、この調子で行くと、20年後には0.1%を割るんじゃないかと思う。それゆえ、若者の確保は教会にとって最優先事項である。実際、現場もそれを分かっていて、色んな話し合いの場では、どうすれば若い人が来てくれるか、という話題が必ず取り上げられていた。しかし何というか、根本的にずれてるんじゃないかという感覚を当時から抱いていた。それが何なのかはっきりとは分からなかったが、先の記事がそれを見ごとに言語化してくれていた。

 教会の牧師や上の人たちが若者に来てほしいと言う時、それは、教会の仕事を担ってくれる人材が欲しい、ということを意味している。教会の中っていうのは実は色んな仕事がある。会計をしたり、イベントを仕切ったり、子供の宗教教育をしたり云々。そういう仕事が信徒にけっこう振られている。こういうのはかなり責任が伴い、プレッシャーも大きい。だから、高齢者の人たちはやりたがらない。そこで、働き盛りの人が来たりすると、その人に一気に押し付けられたりするのだ。

 自分がかつて通っていた教会の例。30代の男性が洗礼を受け、正式に教会員となった。すると、牧師と高齢者の信徒の上役がすかさずその人に、教会の重要な役職を担うよう迫ったのだ。その人は仕事が忙しいからと渋ったが、神様や教会のことを思うなら断れないはずだと牧師たちは言い、かなり無理やりなかたちで承諾させた。以後、その人には碌に引き継ぎもないまま大量の仕事が振られた。ミスをすると集会で批判され、自分の仕事が忙しくなって教会が疎かになると無責任と詰られた。結局、その人は一年でいなくなった。もう二度と教会には行かないと俺に言っていた。そして、牧師や高齢者の方々は、あいつは信仰が足りない等々と文句を言っていた。

 自分たちの価値観や大量の仕事を無理やり押し付け、相手のことを理解しようとせず、何かあれば上から目線で批判する。そうして、若い有能な人材を自ら排除する。先の記事で指摘されていた構造が、そっくりそのまま例の教会に当てはまることは言うまでもないだろう。そして、あくまで俺が知ってる限り、どの教会にも多かれ少なかれこういう傾向が見られ、それが自らの首を絞める結果となっていた。

 教会の場合に特に深刻なのが、上の人たちがそういう理不尽なことを「信仰」とか「神」によって正当化していることだ。神様を信じているなら、これくらい出来るはずだ、こういうことをしてくれるはずだ。そういう思いが、教会の高齢者の方に割と見られるように思う。これは明らかに自分の考えを宗教によって正当化しているだけなのだが、宗教が絡んでいるだけに、本人は自分を疑ったりしない。それゆえ、地方の商店街とかよりも、問題の根は深いように思う。

 そういう姿勢が本人の「信仰」として確立されてしまっている以上、他の人間がとやかく言っても、それが是正されることはないだろう。世代交代すれば少しはマシになるだろうが、はたして、いま教会を支えている世代がゴソッといなくなったとき、若い人材を受け止める体力が日本のキリスト教に残っているか、甚だ怪しいように思うのです。

【歌詞和訳】Blue Lou

 アート・テイタムの演奏で知りましたけど、可愛らしくて大好きな曲です。ルーっていうのはルイーズとかルイーザとかの愛称なんだそうで。英米圏のこういう愛称のつけかたってお茶目でいいっすよね。ちなみに、自分の中でのブルーなルーのイメージは『カビリアの夜』のジュリエッタ・マシーナ。あれもいい映画だったなあ。

 

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今日という日に、ゴジラについて――あるいは、不幸にも『シン・ゴジラ』が傑作となってしまった件について

ゴー! ゴー! 123 3456
345678 ギャー!
怪獣サマのお通りだ
カッコよくなんでも ブッ飛ばせ!
ゴーゴー ゴジラ放射能
ミ ミ ミニラも ポーッポーポ
ドッスン ガッタン ドッスン ガッタン
みんなこわしてしまうけど
ごめんよ かんべん おれたちも
生きてゆくのは きびしいさ

 

佐々木利里「怪獣マーチ」*1

 

*1:名曲。

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新海誠『言の葉の庭』――空から降る一億の新海汁

きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないのは、あるいは行くのをあきらめたのは、すべて、じぶんの足にぴったりな靴をもたなかったせいなのだ、と。

 

須賀敦子ユルスナールの靴』

 

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